病室で目が覚めたもののまだぼうっとしている。

薬のような匂いを感じながら酸素マスクが取り付けられていた。

何とも言えない息苦しさと脱力感、手術の影響で３８度後半の熱が出る。

家族が周りに居るのはわかるが声が出ない。

目が覚めてからどれ位経ったかはわからないが意識もはっきりしてきて

話せるようにもなって来た。

が、それと同時に左足の痛みが増してくる。

傷口が激しい痛みを訴えてくる。

骨に固定用の器具を取り付けている為、左足の付け根付近の内側からも

激しい痛みを訴えてくる。

けれども、こんな痛みは２,３日で取れるだろうと思っていた。

それまでの我慢・・・

痛みのせいで仰向け以外で寝ることが出来ず、時折、右足で踏ん張って腰を浮かしたり

ベッドを起こしたりしなければ、尻がとてつもなく痛くなってくる。

床ずれとはまだまだ無縁だと思っていたが、こんなに早く経験しそうになるとは

思ってなかった。

手術初日の夕食、痛みと高熱で３分の１も食べられず終了。

時間も経ち、消灯時間が来るがもちろん眠ることなど出来ない。

足の痛み、尻の痛み、高熱。

それに、私は元々仰向けでは眠れない体質であったので余計に眠れない。

時間ばかりが過ぎて行き、あまりの痛みに痛み止めをもらって飲んだ。

これでしばらくすれば痛みもマシになって眠れるだろう、と、思っていたが

まったく痛み止めが効いてこない。

もう一回もらおうと思うが、６時間空けてからじゃないともらえない病院の厳しいルール

がある。基本的に市販の薬も６時間位は空けないといけないが自己責任でいつでも何回でも飲める、

しかし、看護師もケアワーカーも病院のルールはまっとうしてくる。当たり前だが。

でも、私にはそんな悠長なことは言ってられない。

１時間位してからもう一度頼んでみた。

 

効いてないみたいやからもう一個ちょうだい。

 

「６時間空けないといけないから、時間経ってからじゃないと渡せないんですよ」

 

やっぱり、思った通りルールに従順だ。

ここは我慢するしかないかと思い、目をつぶることにした。

もちろん寝るなんて無理やけど。

 

痛みの為に体をくねったり、腰を浮かしたり、ベッドを起こしたり。

ずっとそんなことして寝れるわけがない。

もういい加減時間経ったやろうと思って、時間を見るが４時間しか経ってない。

どうせ、時間なんか覚えてないやろと勝手に思い込み

ナースコールを押す。

 

「どうされました？」

 

痛み止めちょうだい

 

少ししてケアワーカーがやってくる

 

「あと２時間は時間が経たないと渡せないんです」

 

うわ、しっかり時間はかってる。

我慢しようと思ったが、眠れない事より、痛みを我慢し続けてる事に

イライラしていた私は

 

だって痛み止め効かへんもん

 

ついつい、強い口調で言ってしまった。

いささか、軽率である。

それでも痛みをこらえ眠る事も出来ずに朝を迎えた。

 

次回　リハビリ開始に続く