救急車で運ばれI病院に到着、時刻はすでに夕方を回っていた。
ここでも処置室に運ばれ看護師に名前、生年月日等を聞かれ入院の
準備を進めて行く。
まだ自身に起こっている事実が受け入れられない。
入院なんか大袈裟に言うとるだけやんな?
看護師に言ってみる。
「大袈裟やないですよ、こんな大怪我してるのに」
そんなやり取りをしてると、医師がやって来た。
「明日のお昼から一枠空いてるからそこでオペしましょうか?」
オペ?ドラマでしか聞いたことない単語が聞こえてきた。
やっぱり手術しないといけないんですか?
カルシウムとれば治るんじゃないですか?
「残念ながら手術は絶対必要ですね、よろしければ手術についてのリスク、説明事項等
話しますが?」
くっ・・・
ここまでか
そうですか・・・わかりました。
「時間もないですし、家族さん無しで話します。」
一通り説明を聞いたがほとんど覚えてない。
「では、説明は以上です。後は看護師にまかせておきますね」
そう言って医師は去って行った。
「じゃあ、とりあえず着替えてもらいますね。」
看護師に入院着に着替えさせてもらい、ついに入院かと思っていた次の瞬間
看護師から衝撃の言葉が飛び出した。
「尿をとる管を入れますね」
ちょっとまってくれ。
管を入れるって、そういうことやろ?
それだけは勘弁してくれ、恥ずかしい。
「そんなこと言っても手術した後はベッドから降りられないし
尿器使うのに起き上がるのもしんどいやろうから今のうちに入れとき」
ほんまに嫌や
それだけは無しにして
「手術中、絶対必要やから、それやったら男の人に入れてもらう?」
それはもっと嫌や。手術の前に入れたらええんやろ?
それやったら、麻酔で眠った後に入れてくれへん?
それで、目が覚めた後にすぐに抜いてくれるならいいです。
「それでもいいよーわかった。伝えとくね」
「じゃあ、病室に行こうか」
数人の看護師さんがやってきて、ベッドに移され病室へ向かう途中で看護師さんに聞いてみた。
いりこ食ったら治るんじゃない?
ほんまに入院せなアカン?
手術の時間を聞いといたらまた来るから帰っていい?
「ほんまに現実を受け入れられへんのやなー」
「多いでーそんな人、でも、ほんまにヒドイ怪我やから入院は必要やわ」
いりこ食ったら治るから夕食に出して
「もー!!奥さん何とか言うてーわけわからんことばっかり言うて
現実を受け止めへん」
「ほらほら、家族さんも来てくれたで」
だって、帰りたいもん。
「とにかく、明日の1時から手術やから今日はゆっくり休んで、
何かあったらナースコールで教えて」
ひと段落つき、家族と話してると、夕食がやって来た。
これが病院食・・・
言ってはいけないのだろうけど、まったく進まない。
普段から濃いめの味が好きな私には、このみそ汁は
ただの湯である。
ほとんど食べられず、ただただ暇な時間が過ぎていく。
病院の消灯時間は早い。午後9時である。
痛みも有り慣れない環境にほとんど眠れなかった。
後でも語るが最初の1週間ぐらいは平均睡眠時間2時間である。
翌日。
「そろそろ、手術着に着替えましょうか?」
「少し痛いかもやけどごめんね」
別に気にせんといてよ、ケガしてるから痛いのは当たり前やし
二人のケアワーカーによって着替えさせてもらう。
右側は何とかなるが、左側はろくに動かせない。
やはり左側は動かせば激痛が走る、でも、この痛みも手術をすれば収まると
思っていた。
そして、13時前
「そろそろ手術室に行きましょうか」
病室を出て手術室に運ばれていく、ドラマで見たことはあるが
自分が体験するとは思わなかった。
手術室に入るとひんやりとしていて寒気がした。
「どうも、今回のオペを担当するHです。準備が出来次第、麻酔をかけますから」
手術の準備が始まる、体に色んな器具が取り付けられていく。
「準備が出来ましたので麻酔を点滴の所から入れていきますよ。
すぐに効き始めますから」
麻酔が効いて眠ってしまうと手術が始まると思った私は、
麻酔が効かないように我慢することにした。
「じゃあ、麻酔を入れますよ、すぐに眠くなりますから」
麻酔を入れられて2,3秒ほどでぼうっとしてきた。
がまん、がまん、がま・・
当然、我慢など出来るわけもなく眠りに落ちた。
次に目覚めたのは病室の中だった。
寝たきりに続く